反社会的勢力による
被害の防止に関する基本方針

近年、暴力団は、組織実態を隠蔽する動きを強めるとともに、活動形態においても、企業活動を装ったり、政治活動や社会運動を標ぼうするなど、いっそう不透明化を増しています。また、証券取引や不動産取引等の経済活動を通じて、資金を獲得、運用する動きも見られます。
今日、多くの企業は、暴力団を始めとする反社会的勢力※と一切の関係をもたないことを倫理規程に掲げ、様々な取組みを進めているところですが、暴力団の不透明化や資金獲得活動の巧妙化を踏まえると、暴力団排除の意識が高い企業であったとしても、暴力団関係企業等と知らずに結果的に経済取引を行ってしまう可能性があり、反社会的勢力との関係遮断の取組みをより一層推進する必要があります。言うまでもなく、反社会的勢力を排除していくことは、暴力団の資金源に打撃を与え、治安対策上も極めて重要な課題ですが、企業にとっても、社会的責任の観点から必要かつ重要なことです。特に、近年、コンプライアンス重視の流れにおいて、反社会的勢力に対して安易に屈することなく法律に則して対応することや、反社会的勢力に対して資金提供を行わないことは、コンプライアンスそのものであるとも言えます。
さらには、反社会的勢力は、企業で働く役職員を標的として不当要求を行ったり、企業そのものを乗っ取ろうとしたりするなど、最終的には、役職員や株主を含めた企業自身に多大な被害を生じさせるものであることから、反社会的勢力との関係遮断は、企業防衛の観点からも必要不可欠な要請です。
本指針は、このような認識の下、反社会的勢力による被害を防止するため、基本的な理念や具体的な対応を取りまとめたものです。

  • 反社会的勢力による被害を防止するための基本原則
    • 組織としての対応
    • 外部専門機関との連携
    • 取引を含めた一切の関係遮断
    • 有事における民事と刑事の法的対応
    • 裏取引や資金提供の禁止
  • 基本原則に基づく対応
    • 反社会的勢力による被害を防止するための基本的な考え方
      • ① 反社会的勢力による不当要求は、人の心に不安感や恐怖感を与えるものであり、 何らかの行動基準等を設けないままに担当者や担当部署だけで対応した場合、要求に応じざるを得ない状況に陥ることもあり得るため、企業の倫理規程、行動規範、社内規則等に明文の根拠を設け、担当者や担当部署だけに任せずに、代表取締役等の経営トップ以下、組織全体として対応する。
      • ② 反社会的勢力による不当要求に対応する役職員の安全を確保する。
      • ③ 反社会的勢力による不当要求に備えて、平素から、警察、特防連、弁護士等の外部の専門機関(以下「外部専門機関」という。)と緊密な連携関係を構築する。
      • ④ 反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたない。また、反社会的勢力による不当要求は拒絶する。
      • ⑤ 反社会的勢力による不当要求に対しては、民事と刑事の両面から法的対応を行う。
      • ⑥ 反社会的勢力による不当要求が、事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由とする場合であっても、事案を隠ぺいするための裏取引を絶対に行わない。
      • ⑦ 反社会的勢力への資金提供は、絶対に行わない。
    • 日頃からの対応
      • ① 代表取締役等の経営トップは、(1)の内容を基本方針として社内外に宣言し、その宣言を実現するための社内体制の整備、役職員の安全確保、外部専門機関との連携等の一連の取組みを行い、その結果を取締役会に報告する。
      • ② 反社会的勢力による不当要求が発生した場合の対応を統括する部署(以下「反社 会的勢力対応部署」という。)を整備する。反社会的勢力対応部署は、反社会的勢力 に関する情報を一元的に管理・蓄積し、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを支援するとともに、社内体制の整備、研修活動の実施、対応マニュアルの整備、外部専門機関との連携等を行う。
      • ③ 取引先の審査や株主の属性判断等を行うことにより、反社会的勢力による被害を防止するため、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築する。同データベースは、特防連や他企業等の情報を活用して逐次更新する。
      • ④ 外部専門機関の連絡先や担当者を確認し、平素から担当者同士で意思疎通を行い、 緊密な連携関係を構築する。暴力追放運動推進センター、企業防衛協議会、各種の 暴力団排除協議会等が行う地域や職域の暴力団排除活動に参加する。
    • 有事の対応
      • ① 反社会的勢力による不当要求等がなされた場合には、当該情報を、速やかに反社会的勢力対応部署へ報告・相談し、さらに、速やかに当該部署から担当取締役に報告する。
      • ② 反社会的勢力から不当要求がなされた場合には、積極的に、外部専門機関に相談するとともに、その対応に当たっては、特防連が示している 不当要求対応要領等に従って対応する。要求が正当なものであるときは、法律に照らして相当な範囲で責任を負う。
      • ③ 反社会的勢力による不当要求がなされた場合には、担当者や担当部署だけに任せずに、不当要求防止責任者を関与させ、代表取締役等の経営トップ以下、組織全体として対応する。その際には、あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに、刑事事件化を躊躇しない。特に、刑事事件化については、被害が生じた場合に、泣き寝入りすることなく、不当要求に屈しない姿勢を反社会的勢力に対して鮮明にし、更なる不当要求による被害を防止する意味からも、積極的に被害届を提出する。
      • ④ 反社会的勢力による不当要求が、事業活動上の不祥事や役職員の不祥事を理由とする場合には、反社会的勢力対応部署の要請を受けて、不祥事案を担当する部署が速やかに事実関係を調査する。調査の結果、反社会的勢力の指摘が虚偽であると判明した場合には、その旨を理由として不当要求を拒絶する。また、真実であると判明した場合でも、不当要求自体は拒絶し、不祥事案の問題については、別途、当該事実関係の適切な開示や再発防止策の徹底等により対応する。
      • ⑤ 反社会的勢力への資金提供は、反社会的勢力に資金を提供したという弱みにつけこまれた不当要求につながり、被害の更なる拡大を招くとともに、暴力団の犯罪行為等を助長し、暴力団の存続や勢力拡大を下支えするものであるため、絶対に行わない。
  • 内部統制システムと反社会的勢力による被害防止との関係
    会社法上の大会社や委員会設置会社の取締役会は、健全な会社経営のために会社が営む事業の規模、特性等に応じた法令等の遵守体制・リスク管理体制(いわゆる内部統制 システム)の整備を決定する義務を負っています。また、ある程度以上の規模の株式会社の取締役は、善管注意義務として、事業の規模、特性等に応じた内部統制システムを構築し、運用する義務があると解されています。反社会的勢力による不当要求には、役職員、関係会社を対象とするものが含まれます。また、不祥事を原因とする不当要求の場合には、会社側に事案を隠蔽しようとする力が働きかねません。このため、反社会的勢力による被害の防止には、業務の適正を確保するために必要な法令等の遵守を内部統制システムに明確に位置付ける必要があります。

※ 暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要。

以 上

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